雑草軍団で勝つ。「オレたちにも出来る」清宮克幸が日本ラグビーに与えた勇気
降格の危機を救い日本一も経験。ヤマハ発動機を変えた名将の軌跡
■「オレたちにも出来る」
一般的には、ニュースの「鮮度」は落ちていた。それでも、100人近いメディアを引き寄せる「磁力」とでも呼ぶべき力が、清宮克幸という男にはある。
思い出の写真を手にした清宮は続けた。
「この日本一は、多くのトップリーグのチームに、あるいは大学のチームもかもしれないけれど『オレたちにも出来る』と思わせた」
そう話す清宮の目は少し潤んでいるように見えた。
「トップリーグはずっと、強豪と言われている4チームだけが優勝争いを繰り広げてきた中に、一度低迷を経験して、人材にも環境にも恵まれない、そんなチームが4年間で日本一になれることを証明した写真なんです。
これが、ヤマハの監督としての一番の仕事だったと思う。『やればできる』ということを、多くのラグビーチームに伝えることができたんじゃないかと思います」困難への挑戦――それが、8シーズンにわたった清宮克幸、ヤマハ発動機ジュビロ監督としての歩みだった。